結局、おじさんと知り合って1年足らずで、彼女は7本のブレスレットと二本の印鑑を購入していた。
ラリマーにスーパーセブン、スギライト。
彼女の話しを聞いて、だまされてはいないかと、いろんなパワーストーンのショップを回り、お話しも聞いてみたけれど、石としてはそれなりに価値のある石で、価格もだまされているほどではなかった。
でも、なぜそれほどまでに高価な石ばかりが必要なのか?
お守りとしてのブレスレットは、本当に願って手に入れたものを大切にするほうが良いのではないか?
大事なのは、自分の心で、パワーストーンは補助的な役割なのでは?
京都へ行くたびに、彼女に真剣に話してみたけれど、彼女にとってはうるさいだけだったらしく、そのうち京都へ行くことすら話してくれなくなっていた。
それでも、バイトお休みの翌日、新しいブレスレットをしていれば、嫌でも京都へ行ってきたことがわかってしまう。
わたしは、その腕に新しいブレスレットが増え、高そうな印鑑を使っているのを見るたび、焦る気持ちと悲しみを感じた。
けれど、これ以上彼女の気持ちを刺激しないように、新しい石の意味や効力を聞く程度にしていた。
わたしがあまり彼女にうるさく言わなくなったことで、彼女は少しずつ石を買ったときのことを話してくれるようになった。
おじさんは「いつでもおいで。」と彼女に優しく、いつも彼女側の立場になってお話しを聞いてくれるのだとか。
ただ、やっぱりわたしは彼女の話しにひっかかりを感じた。
彼女はおじさんのことを信じていて、石を買わないときでもときどき話しを聞いてもらいに行っているようなのだけれど、そんなときに限って、いつもより態度が冷たかったり、他のお客さんで忙しくなったりで、彼女の相手をあまりしていないように感じた。
そしてまた、さらに高級な印鑑を買わないかと岩手要るようだったので、私は一生懸命とめた。
そりゃ、商売なのだから、買わないお客さんより、買う気のある人の方が大切なのもわかる。
でも、あれだけの金額を1年もたたずに使ったのだから、それなりに大事にしてほしいと腹立たしい気持ちになってしまった。 |